文化庁の「 AI と著作権」と「AI と著作権に関する考え方について(素案)」の内容を整理してまとめてみようと思います。
「AI と著作権に関する考え方について(素案)」は 2024年1月23日より文化庁が AI と著作権に関する意見を募集し、2024年2月29日に結果とそれを踏まえ修正された素案の内容です。
概観としては下図になります。

下記の STORIA さんの記事も参考にしてください。
こちらの方が法律家の目線になるのでより正確だと思います。
- 「生成AIと著作権侵害」の論点についてとことん検討してみる | STORIA 法律事務所
- 文化庁「AIと著作権に関する考え方について(素案)令和6年1月15日時点版」の検討 | STORIA 法律事務所
AI の開発工程は下記のようになっています。

文化庁の「 AI と著作権」の内容と照らし合わせながら ひとつずつ見ていきます。
Indexx
著作権法第三十条の四
本題に入る前にまずは30条の 4 から見ていきます。AI 利用において最も議論されているのが、著作権法第 30条の 4です。これがあることで「ほぼ全ての著作物は AI への無制限利用が可能」というのが以前の日本の法律でした。
内容は下記のものです。
第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
法令検索 | e-GOC
一 著作物の録音、録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
二 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
三 前二号に掲げる場合のほか、著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程における利用その他の利用(プログラムの著作物にあつては、当該著作物の電子計算機における実行を除く。)に供する場合
文化庁の解説
この内容を文化庁が解説してくれています、文化庁の「 AI と著作権」の 36ページを引用します。

重要な部分は下記です。
法第30条の4の「享受」とは、著作物の視聴等を通じて、
令和5年度 著作権セミナー A I と著作権 36 ページ| 文化庁著作権課
視聴者等の知的・精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けられた行為をいいます。
法第30条の4と照らし合わせると下記のようになります。
著作物の視聴等を通じて、視聴者等の知的・精神的欲求を満たすという効用を目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。
これを図解すると下記になります。

これが著作権法第三十条の四です。日本では機械学習への著作物の利用については基本的に無許諾でよい、という法律になっています。
AI 開発の際の著作権

前述した第30条の 4 があることで「機械学習パラダイス」と呼ばれていた日本ですが、「 AI と著作権」の資料で第30条の 4 には例外が2点あることが明記されました。
『非享受目的』と『享受する目的』が併存する利用行為
文化庁が出した「 AI と著作権 」の 38ページにひとつめが書かれています。

例外となるのは一番下の部分です。
機械学習は「享受を目的としない利用行為」のため、上段の「享受を目的とする利用行為」には当たりません。機械学習は「非享受目的」に当たります。

具体例
文化庁と内閣府が公表した資料で具体例が挙げられています。
具体例として挙げられているのが下記の部分です。
※1 例えば、3DCG映像作成のため風景写真から必要な情報を抽出する場合であって、元の風景写真の「表現上の本質的な特徴」を感じ取れるような映像の作成を目的として行う場合は、元の風景写真を享受することも目的に含まれていると考えられることから、このような情報抽出のために著作物を利用する行為は、本条の対象とならないと考えられる
AIと著作権の関係等について | 文化庁著作権課 / 内閣府科学技術・イノベーション推進事務局重要課題(社会システム基盤)担当
図解すると下記のようになります。

この場合、この AI は開発も利用も著作権侵害にあたることになり、著作権者からの許諾が必要になります。
具体例が画像生成でしたが、これはテキスト生成やコード生成など、あらゆる生成 AI が対象になります。先ほどの「 AI と著作権」36 ページに明記されています。

つまり、生成 AI が享受目的にあたることを理由に Stable Diffusion や DALL・E3、Midjurney を規制する場合、ChatGPT や GitHUb Copilot にも規制がかかる可能性がでてきます。
素案の内容 – 基本的に享受目的には当たらない
この部分で「AI と著作権に関する考え方について(素案)」に記載がありました。ここでは下記のことが書かれています。
生成 AI に関して、享受目的が併存すると評価される場合について、具体的には以下のような場合が想定される。
AI と著作権に関する考え方について(素案)3 ページ | 文化庁
- ファインチューニングのうち、意図的に、学習データをそのまま出力させることを目的としたものを行うため、著作物の複製等を行う場合。
(例)いわゆる「過学習」(overfitting)を意図的に行う場合- AI 学習のために用いた学習データを出力させる意図は有していないが、既存のデータベースや Web 上に掲載されたデータの全部又は一部を、生成 AI を用いて出力させることを目的として、著作物の内容をベクトルに変換したデータベースを作成する等の、著作物の複製等を行う場合。
1に関して:過学習というのは、訓練データに対して過剰に適合してしまう現象のことです。AI はある一定の学習量を超えて学習を続けた場合、データが偏ります。この偏りを利用することで特定の著作物の複製を意図的に行った場合です。
2に関して:WEB 上にあるデータをそのまま出力する機能を持った AI を指しています。
こういった場合に「『非享受目的』と『享受する目的』が併存する」と言っています。つまり、意図的に特定の著作物を生成する AI 開発とその AI の利用行為に関して著作権侵害に当たる、としています。これ以外の、意図的に特定の著作物を生成しない AI であれば著作権侵害に当たりません。
なお、生成・利用段階において、AI が学習した著作物に類似した生成物が生成される事例があったとしても、通常、このような事実のみをもって開発・学習段階における享受目的の存在を推認することまではできず、法第 30 条の4の適用は
AI と著作権に関する考え方について(素案)4 ページ | 文化庁
直ちに否定されるものではないと考えられる。他方で、生成・利用段階において、学習された著作物に類似した生成物の生成が頻発するといった事情は、開発・学習段階における享受目的の存在を推認する上での一要素となり得ると考えられる。
たまたま既存の著作物に似たものを生成し、業務利用したとしても、それがすぐに著作権侵害にあたるわけではない、という文も明記されました。
第 30条の 4 但書が適用される場合
これはかなり単純です。データセット用に作られた(あるいはデータセットに利用できる)データベースを利用する場合はちゃんと所有者の指示通りに利用してねっていう内容です。
第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
著作権法第三十条の四 | e-GOC 法令検索
「 AI と著作権 」の 39ページでも図解されています。

AI 利用の際の著作権
次は AI アプリケーションの利用工程についてです。

ここに関しての概要は下記です。

著作権侵害のプロセス
前提として、人が作ったものとAI が生成したものを同等に扱う、という内容が「AI と著作権」に明記されています。


「AI と著作権」に明記されているのは下記のプロセスです。

これは著作権者が訴えを起こした後に裁判で判断されます。著作権侵害は刑事罰ではないため、あくまで著作権者が訴えることが前提です。
ただし、私的利用はこれに含まれません。
個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
第三十条 | e-GOV 法令検索
私的利用に留まるのであればトトロでもミッキーでも生成して利用できます。子供の落書きが著作権侵害に当たらない場合を考えると当然の内容です。ただし、生成段階のところで詳しく記載しますが企業の内部での利用は別です。

類似性に作風は含まない
類似性の部分には作風を含まないことが明記されています。
画家の画風自体は保護しない(画風が類似していても著作権侵害とはしない)
令和5年度 著作権セミナー A I と著作権 10 ページ | 文化庁著作権課

これは例えると下記のようになります。

これは AI に限ったことではありません。以前からずっと、人が描いた絵にも画風自体の保護はされてきていません。
素案の内容 – 画風への配意
作風について素案で言及されました。
近時は、特定のクリエイターの作品である著作物のみを学習データとしてファインチューニングを行うことで、当該作品群の影響を強く受けた生成物を生成することを可能とする行為が行われており、このような行為によって特定のクリエイターの、いわゆる「作風」を容易に模倣できてしまうといった点に対する懸念も示されている。このような場合、当該作品群は、表現に至らないアイデアのレベルにおいて、当該クリエイターのいわゆる「作風」を共通して有しているにとどまらず表現のレベルにおいても、当該作品群には、これに共通する表現上の本質的特徴があると評価できる場合もあると考えられることに配意すべきである。
AI と著作権に関する考え方について(素案)4 ページ | 文化庁
特定のクリエイターの作品である著作物のみを学習データとしてファインチューニングを行う場合、当該作品群が、当該クリエイターの作風を共通して有している場合については、これにとどまらず、表現のレベルにおいても、当該作品群には、これに共通する表現上の本質的特徴があると評価できる場合もあると考えられることに配意すべきである。
AI と著作権に関する考え方について(素案)6 ページ | 文化庁
言及されましたが、配意すべきである、という表現に留まっています。

入力段階の著作権
プロンプトから生成する場合は特に著作権の問題は起こりません。
問題が発生するのは image2image などで著作物の画像を入力データとして入力する場合です。前提として、個人利用で済む場合は問題ありません。

この場合は開発工程ででてきた「『非享受目的』と『享受する目的』が併存する場合」に当たる可能性があります。

この入力が「享受する目的」と判断された場合は著作権侵害となります。
素案の内容 – 著作物の入力
○ この生成 AI に対する入力は、生成物の生成のため、入力されたプロンプトを情報解析するものであるため、これに伴う著作物の複製等については、法第 30 条の4の適用が考えられる。
AI と著作権に関する考え方について(素案)16 ページ | 文化庁
○ ただし、生成 AI に対する入力に用いた既存の著作物と類似する生成物を生成させる目的で当該著作物を入力する行為は、生成 AI による情報解析に用いる目的の他、入力した著作物に表現された思想又は感情を享受する目的も併存すると考えられるため、法第 30 条の4は適用されないと考えられる。
著作物の入力データへの利用も基本的に認めらる旨の記載がありました。図解すると下記です。

生成段階の著作権
生成段階では、前述してきたように私的利用であればどんなものを生成しても問題ありません。

上図の赤字で記載したように、企業における業務利用においては第 30条の 3 の但し書きに抵触する可能性があります。
第三十条の三 著作権者の許諾を得て、又は第六十七条第一項、第六十八条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定を受けて著作物を利用しようとする者は、これらの利用についての検討の過程(当該許諾を得、又は当該裁定を受ける過程を含む。)における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、当該著作物を利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
第三十条の三 | e-GOC 法令検索
著作権者の利益を不当に害さない場合であれば問題ない、という内容になっています。
つまり、トトロやミッキーが生成されている場合、それを社内利用することでジブリやディズニーの利益を損なうと判断された場合に著作権侵害が発生します。ただし、この段階でも画風は保護されません。ジブリ風、ディズニー風の画像であれば著作権侵害にあたりません。
「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」とは何か
生成 AI に関わらず、具体的に「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」とは何か、っていうとかなりシビアになってきます。ほとんどの場合で著作権侵害にあたります。
裁判例では、
社内利用で著作権侵害にならないために! 私的利用の範囲を確認 | VERYBEST
企業その他の団体において、内部的に業務上利用するために著作物を複製する行為は、その目的が個人的な使用にあるとはいえず、かつ家庭内に準ずる限られた範囲内における使用にあるとはいえない
と判示し、企業が業務上著作物を利用する場合には、たとえ内部的に利用するだけであっても、私的利用には該当しないという立場が取られています。
ただ、様々な企業で内部的な利用はされている認識です。
私は映像やゲームの 3DCG 制作に関わる仕事をしています。少なくとも私が今まで在籍した会社で内部的に他社の著作物を扱っていないケースはありません。もちろん外に出すことはありませんが、参考資料として内部での利用はしています。もしこれを禁止した場合、ほとんどのアニメ、映画、ゲームといった分野の制作・開発コストは跳ね上がります。
この辺りは暗黙で許容されてきた実態があるように思っています。(※あくまで私個人の見解です。)今後生成 AI に関する議論の中で、この部分への言及もされていくのかもしれません。
送信段階の著作権
ここは前述したように下記に該当する場合に著作権侵害が発生します。

追加学習における画風の偏り以外で問題になるのは依拠性です。
既存の著作物を知らず、偶然に一致したに過ぎない、「独自創作」などの場合は、依拠性はないと考えられます。
令和5年度 著作権セミナー A I と著作権 19ページ| 文化庁著作権課
つまり、既存の著作物を知らない状態で、たまたま一致するものを作ってしまったとしても、そこに依拠性は発生しません。

生成 AI 利用において、本当にこの場合を依拠性はないとみなしてよいのか、というのは当時かなり疑問に思っていました。
素案の内容 – 依拠性について
これについても素案で記載されています。
AI 利用者が既存の著作物(その表現内容)を認識していなかったが、当該生成 AI の開発・学習段階で当該著作物を学習していた場合については、客観的に当該著作物へのアクセスがあったと認められることから、当該生成 AI を利用し、当該著作物に類似した生成物が生成された場合は、通常、依拠性があったと認められ、著作権侵害になりうると考えられる。
AI と著作権に関する考え方について(素案)13 ページ | 文化庁
ただし、このような場合であっても、当該生成 AI について、開発・学習段階において学習に用いられた著作物が、生成・利用段階において生成されないような技術的な措置が講じられているといえること等、当該生成 AIが、学習に用いられた著作物をそのまま生成する状態になっていないといえる事情がある場合には、AI 利用者において当該事情を反証することにより、依拠性がないと判断される場合はあり得ると考えられる。

言及されなかったケースとして、
・ 生成物が既存の著作物と類似している
・ AI 利用者がその著作物を知らない
・ 学習データセットには当該の著作物のデータが入っているが利用者は知らない
・ その AI には当該著作物を生成されないような技術的な措置がとられていない
こういったケースには言及されていません。例えば他の国の地方で生まれたすんごいマイナーなキャラクターをAIが生成し、それを知らずに業務利用し、後から発覚した場合です。
これまではアーティストやデザイナーが絵を描いてきましたが、生成 AI を利用することで誰でも作れて業務などに利用できる状況になります。既存の著作物に類似するものを生成するケースは大幅に増えるはずで、それを知らずに利用した場合の依拠性は非常に難しい課題のように思います。
個人的にはテキスト生成の類似性・依拠性もでてくるように思います。WEB 上にある文章と全く同じ文章が生成され、それに気づかずに利用した場合です。ChatGPT などの LLM では確率は低いですが、小規模・中規模の言語モデルでは確率が上がります。
生成物に著作権は発生するか
生成したものに著作権が発生するかどうかは AI を道具として利用したかどうかで変わってきます。

「 AI と著作権」の 57ページに記載されています。

素案の内容 – 著作権が認められる場合
素案に記載はありましたが、明確に範囲が広がったわけではありません。
○ 著作権法上の従来の解釈における著作者の認定と同様に考えられ、共同著作物に関する裁判例等に照らせば、生成 AI に対する指示が表現に至らないアイデアにとどまるような場合には、当該 AI 生成物に著作物性は認められないと考えられる。
AI と著作権に関する考え方について(素案)18 ページ | 文化庁
○ また、AI 生成物の著作物性は、個々の AI 生成物について個別具体的な事例に応じて判断されるものであり、単なる労力にとどまらず、創作的寄与があるといえるものがどの程度積み重なっているか等を総合的に考慮して判断されるものと考
えられる。例として、著作物性の判断するに当たっては、以下の①~④に示すような要素があると考えられる。
① 指示・入力(プロンプト等)の分量・内容
AI 生成物を生成するに当たって、表現と同程度の詳細な指示は、創作的
寄与があると評価される可能性を高めると考えられる。他方で、長大な指示であったとしても表現に至らない指示は、創作的寄与の判断に影響しないと考えられる。
② 生成の試行回数
試行回数が多いこと自体は、創作的寄与の判断に影響しないと考えられる。他方で、①と組み合わせた試行、すなわち生成物を確認し指示・入力を修正しつつ試行を繰り返すといった場合には、著作物性が認められるこ
とも考えられる。
③ 複数の生成物からの選択
単なる選択行為自体は創作的寄与の判断に影響しないと考えられる。他方で、通常創作性があると考えられる行為であっても、その要素として選択行為があるものもあることから、そうした行為との関係についても考慮する必要がある。
④ 生成後の加筆・修正
人間が、創作的表現といえる加筆・修正を加えた部分については、通常、著作物性が認められると考えられる。もっとも、それ以外の部分についての著作物性には影響しないと考えられる。
1. 詳細なプロンプトであれば著作物性が認められる可能性がある
2. 生成の試行回数の数には著作物性はない
3. 複数の生成物から選択する行為には基本的に著作物性はない
4. 加筆や習性があった場合は著作性がある
要約すると、詳細なプロンプトを使用して生成したものに関しては著作権が認められる可能性があるが、明確に著作権を発生させたい場合は加筆・修正を行うこと。
詳細なプロンプトを使用したケースに関して著作権が発生する可能性があることが明記されました。あくまで可能性だけの言及で、程度などの記載はありません。
まとめ
素案にされたもので、重要なのは追加学習についての言及でした。

あくまで「配意すべき」に留まっていて著作権侵害と断定しているわけではありません。そして、どこにどの程度配意すべきか、といった詳細は記載されていません。「配意すべきだと思いますが、まだ議論が足りていません。」といったニュアンスが近いのかなと思います。今のところ追加学習は一律で著作権侵害に当たる、という流れにはなっていません。
一番大きかったのが機械学習が基本的に「『非享受目的』と『享受する目的』が併存している状態に当たらない」という言及があったことです。このまま進むのであれば、無許諾で著作物を学習データとして利用でき、同様の方法で作られた AI の利用も著作権侵害に当たらないことになります。ChatGPT にも規制は入りません。
まとめると下記になります。

「AIと著作権に関する考え方について」はまだ素案の段階です。議論は続きます。
素案の内容は日本のパブリックコメントを受けてのものもありますが、どちらかというと海外と足並みを揃えようとしている印象を受けます。海外では生成 AI の裁判が進んでおり、判決もでてきています。その影響を受けているように感じました。
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- 画像生成AI「Midjourney」が品評会で1位を取った絵画の著作権保護をアメリカ著作権局が拒否、624回のプロンプト入力とPhotoshopによる修正をしていてもダメ | Gigazine
- AI生成のアート作品は著作権保護の対象にならず。アメリカでの判決が与える影響 | ART news
中国では Stable Diffusion の生成画像に著作権を認めた判例もでてきました。(まだ一審ですが)
素案の中で「詳細なプロンプトで生成した場合に著作物性を認める可能性がある」としたのはこれを受けてのものではないでしょうか。
最優先に考えているのは国益のように思います。他国が許容し、日本だけ規制した場合の経済的なリスクが大きい。上記の中国の判例が三審まで通った場合、中国だけ生成 AI が使い放題の状況になります。(ウルトラマンの判例のとおり、明確な著作権侵害は中国も許容していません)かといって日本だけ許容しすぎると反発が強くなる。このあたりでバランスをとろうとしているように感じます。

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